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電子契約の基本と実務上の注意点

ペーパーレス化の流れは大きく仕事のあり方を変えている。その中でも「電子契約」は定着していくだろう。電子契約の基本と実務上の注意点について、確認すべきことは以下の通りである。


1. はじめに

近年、企業活動のデジタル化が進む中で、契約の締結方法も変化している。従来の紙媒体での契約書から、電子契約(デジタル契約)への移行が加速しており、その利便性やコスト削減効果が注目されている。しかし、電子契約を適切に運用するためには、基本的な仕組みを理解し、実務上の注意点を把握しておくことが重要である。

本稿では、電子契約の基本概念から、法的効力、導入のメリットとデメリット、実務上の注意点について詳しく解説する。


2. 電子契約の基本概念

2.1 電子契約とは
電子契約とは、紙の契約書ではなく、電子データを用いて締結される契約のことを指す。電子メールや電子署名、クラウド型の契約管理システムを利用して契約が締結される。電子契約は、法的に紙の契約書と同等の効力を持つとされており、多くの企業が採用している。

2.2 電子契約の種類
電子契約には、以下のような種類がある。
1. 電子メールによる契約:
- 電子メールを用いて契約の意思表示を行い、合意を形成する方式。
- ただし、真正性の証明が難しいため、ビジネス上の重要な契約には不向き。

2. 電子署名付き契約:
- 電子署名法に基づく電子署名を利用することで、契約の真正性や本人確認を強化。
- 電子署名には「立会人型」と「当事者型」がある。

3. クラウド型電子契約サービス:
- クラウドベースのプラットフォームを利用し、電子契約を締結・管理する方式。
- DocuSign、Adobe Sign、クラウドサインなどが代表的なサービス。

2.3 日本における電子契約の法的根拠
日本では、電子契約の法的有効性は以下の法律に基づいている。
- 電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法):
- 電子署名が付与された文書は、本人による署名と推定される。

- 電子帳簿保存法:
- 電子的に保存される契約書の要件を定める。

- 民法・商法:
- 契約の成立には「意思表示の合致」が必要であり、電子契約であっても同様。


3. 電子契約のメリットとデメリット

3.1 メリット
1. 契約業務の効率化
- 電子契約では、契約書の作成・締結・保管がすべてデジタル上で完結する。
- 印刷・郵送の手間が省け、業務スピードが向上する。

2. コスト削減
- 紙代、郵送費、印紙税などが不要になり、企業のコスト削減につながる。

3. リモートワーク対応
- 場所を問わず契約締結が可能となり、テレワークやグローバルビジネスに適している。

4. 検索・管理が容易
- 契約書のデータがクラウド上で管理されるため、検索・閲覧が容易。

3.2 デメリット
1. システム障害やセキュリティリスク
- クラウドサービスのダウンタイムや、ハッキングのリスクがある。

2. 法的要件の理解が必要
- 電子署名の要件や、電子帳簿保存法の遵守など、法律の知識が求められる。

3. 取引先の対応
- すべての企業が電子契約に対応しているわけではなく、紙の契約書を求める取引先も存在する。


4. 実務上の注意点

4.1 電子署名の選定
電子署名には、法的有効性の高い「認定電子署名」と、簡易的な「立会人型電子署名」がある。契約の重要性に応じて適切な署名方式を選定することが重要である。

4.2 電子契約の適用範囲の確認
電子契約が認められていない契約類型があるため、注意が必要である。

- 電子契約が不可または慎重に扱うべき契約例:
- 公正証書を要する契約(例:遺言書)
- 不動産売買契約
- 特定の金融取引契約

4.3 電子契約サービスの選定
電子契約サービスを導入する際は、以下の点を考慮する。

- セキュリティレベル(暗号化技術、二要素認証の有無)
- 法令対応(電子帳簿保存法、電子署名法への適合)
- 契約書の長期保存の可否

4.4 契約書の改ざん防止
電子契約では、タイムスタンプやブロックチェーン技術を利用することで、データの改ざんを防ぐことができる。特に長期間保存する契約書については、証跡管理が重要である。

4.5 取引先との調整
電子契約の導入に際しては、取引先の同意が必要である。電子契約の有効性やメリットを説明し、スムーズに移行できるように調整することが求められる。


5. まとめ

電子契約は、業務効率化やコスト削減、リモートワーク対応などのメリットをもたらす一方で、法的要件やセキュリティ対策の確立が不可欠である。適切な電子契約の運用には、法律やシステムの理解を深め、取引先との調整を行いながら、安全かつ効果的に活用することが求められる。

今後、電子契約の普及がさらに進むと予想される中で、実務担当者は最新の法改正や技術動向を把握し、適切な契約管理体制を整えることが重要となる。